キーンベック病(月状骨軟化症)
病態・原因
キーンベック病とは、手首の付け根にある“月状骨”と呼ばれる骨への血流が低下することで月状骨が壊死して、潰れていく病気のことです。
月状骨への血流が低下する明確な原因は解明されていませんが、この病気は手をよく使う職業の人に発症しやすいとされています。
症状
キーンベック病は、発症すると手首に痛みと腫れが生じます。進行すると月状骨が壊死して潰れていくため、手首を動かせる角度が小さくなり、握力も低下していきます。また、初期段階では月状骨がある手首の中心部のみに痛みと腫れが限られますが、進行すると手首全体に痛みと腫れが広がります。
強い痛みや手首の動かしにくさから日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
診断
キーンベック病が疑われる場合は、次のような検査が行われます。
画像検査
キーンベック病の診断にはX線検査が必須となります。しかし、発症の初期段階では画像検査で異常がみられないこともあるため、症状などからキーンベック病が疑われる場合はMRIによる詳しい検査が必要です。病変の範囲から尺骨突き上げ症候群など別の病気との鑑別を行います。
血液検査
関節リウマチや別の病気の鑑別を行うため血液検査を行うことがあります。
治療
キーンベック病の治療方法は重症度や日常生活への支障の度合いなどによって大きく異なります。
症状が軽く月状骨の変形がほとんどない初期段階の場合は、装具などを用いて手首の安静を図り、痛みなどの症状に対しては鎮痛薬を使用するといった対症療法を行います。
しかし、重症化して対症療法のみでは症状が改善しない場合は手術療法を行われることもあります。
橈骨短縮骨切り術(手術の一例)
日本整形外科学会ホームページより引用
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