フットケア foot care
巻き爪・陥入爪の根治的治療・フェノール法について
巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)とは
巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の端が内側に巻き込んでいる状態のことをいいます。
多くは足の親指に起こりますが、親指以外や手の指が巻き爪になることもあります。
陥入爪では、爪の側縁が周囲の皮膚に食い込み、皮膚に痛みや発赤、腫れを引き起こします。進行すると化膿や出血することもあります。
原因
- 偏平足・外反母趾
- スポーツ外傷やケガ
- 靴が合っていない(ハイヒールや先のとがったパンプスなど、足に負担がかかりやすい靴を履いている)
- 深爪(爪を短く切りすぎると皮膚と爪に段差が生じ、この状況で爪全体が伸びると、皮膚への食い込みが発症します)
予防(セルフケア)
スクエアカット(皮膚から水平に切って角を残す切り方)で爪切りをします。特に爪の端の部分を切り過ぎないように気を付けることが大切です。
また、適切なサイズの靴を履くことが重要です。ハイヒールなど、靴のつま先が急に狭くなっているような形の靴は、第1趾と第5趾の両側から強い圧力がかかってしまうので、できるだけ避けるようにしましょう。
スクエアカット方法
今回ご紹介した爪の正しい切り方は、巻き爪の改善だけでなく予防にもつながります。反対に深爪など間違った切り方を続けていると、巻き爪が生じたり悪化したりする原因となります。
爪を健康に保つためにも、爪切りの正しい方法を身につけましょう。
治療方法
当院では(外科的)手術治療→フェノール法を行います。
手術治療の目的は、爪の幅を狭くし、皮膚に食い込まないようにすることです。根治的な治療を見込めると考えています。
- テーピング法
- コットンパッキング法
- ワイヤー矯正法
などの方法がありますが、根治は難しく再発することが多いといわれており、当院では行っていません。
フェノール法とは?
爪の両側で爪を取り除き、その部分に爪の生産工場の役割を担っている「爪母(そうぼ)」という細胞をやっつけて爪が生えてこないように処置します。
処置には、強い蛋白腐食作用を持つフェノールという薬剤を用いるためフェノール法と呼ばれています。現在最も主流な手術法となっています。
爪の幅が狭くなるので、巻き爪・陥入爪の再発リスクが低下し、矯正治療などに比べると根治的な治療といわれています。入院は不要で、日帰りの外来手術で行います。
痛みに関しては、麻酔時の注射の痛みがありますが、手術中の痛みはほとんどありません。
手術時間も30分程度で終了し、歩いて帰宅できます。
手術後の痛みも少なく、安静の制限も必要ないので、お仕事が休めない、部活が休めない、などの事情があっても手術可能になります。
フェノール法(巻き爪手術)の費用
巻き爪・陥入爪の手術は健康保険の適応となります。
自費の矯正治療などを何回も繰り返すことを考えれば、手術治療は費用負担が少なく抑えられます。
フェノール法(巻き爪手術)の手順
①局所麻酔
消毒後、足指の付け根の部分に麻酔の注射をします。足跡の神経をブロックする方法で行います。
②駆血
手術の出血を少なくすることを目的に、患趾の基部を駆血します。
③爪甲の切除
切除する範囲の爪甲を、周囲組織から丁寧に剥離します。
④フェノールによる処置
爪甲を除去した部分にフェノールを浸した綿棒を爪母に押し当てるように処置を進めます。3分程度標準行いますが、患者さんの状態に応じて時間を調整します。
⑤フェノールの中和と洗浄
フェノールは強い蛋白腐食性をもつので、無水エタノールで中和し、洗浄します。
⑥止血
駆血を緩めると出血します。術後に出血しないように機械を使って止血をします。
止血確認後、軟膏を塗布しガーゼで覆って終了します。
術後の処置と通院
手術当日から歩行で帰宅していただけます。
術後の感染予防として内服の抗生物質、痛み止め、処置用の塗り薬を処方します。
翌日に受診し、傷の状態を確認します。感染などなければ入浴時に創部も洗い流してもらい、ご自宅で軟膏塗布とガーゼ保護の処置を1日1回してもらいます。
その後は2週間に1回程度、受診していただくことになります。
個人差はありますが、1〜2ヶ月後できれいになります。
外来手術(フェノール法)までの流れ
STEP 1 診察のご予約
STEP 2 診察
現在の病状を詳しく伺い、患者さん一人ひとりに適した治療法を提案いたします。具体的な治療の流れや注意事項などについて説明します。
STEP 3 外来手術フェノール法のご予約
診察時間中は混雑いたしますので、午後からのお時間にご予約いただきます。