五十肩(肩関節周囲炎)
五十肩(肩関節周囲炎)とは
40代や50代になると、棚の物を取る、エプロンを結ぶといった日常動作の中で肩に痛みを感じたり、夜中にズキズキとした痛みがあり、眠れないほどの痛みを感じることもあります。
50歳ごろに好発するため、肩の痛みと可動域(動かせる範囲)が制限される症状を伴うものを総称して、いわゆる「五十肩」肩関節周囲炎と診断されます。
病態・原因
肩関節の周囲の筋肉や滑液包(かつえきほう:肩を動かす際にすべる部分)、腱板(けんばん:肩を動かす筋肉があつまったもの)などが主に加齢などが原因となって炎症を起こすのが肩関節周囲炎です。
病期として、炎症期、拘縮期、回復期があります。
急性期
強い炎症が起こる時期で、時に激しい痛みを感じ、動かすことが困難となることもあります。
安静時にも痛みを感じることがあります。(2~9カ月)
拘縮期
強い痛みが少しおさまりますが、肩の動く範囲が悪くなってきます。(3~12カ月)
回復期
症状が徐々に改善し、肩の動きもよくなっていきます。(12~42カ月)
炎症が続くうちに筋肉や関節包が硬くなってしまい、動きが悪くなってしまうことがあるため、強い炎症を起こしている場合には速やかに炎症をとる必要があります。
また、放置していると凍結肩といわれる非常に動きの悪い状態に陥ってしまうことがあります。
診断
圧痛の部位や動きの状態・肩のレントゲンをみて診断します。
ほか腱板断裂が疑われる場合は、超音波検査やMRI検査を必要時行います。
治療
薬による治療
痛みが強い時期には消炎鎮痛剤の内服や外用剤を使用します。
特に痛みや炎症が強い場合には、炎症を起こしている付近にステロイドという炎症を強く抑える作用の薬を注射したり、潤滑油の役割をするヒアルロン酸製剤を注射したりします。
ペットボトル使用したコッドマン体操もオススメします
➀痛まない程度の角度で少し前かがみになります。
⓶「痛む側の手」でおもりを持ち、肩の力を抜いてだらんと垂らします。
⓷「前後」「左右」「円を描く」運動をそれぞれ10往復を1回とし、最初は無理をせず1日1回。慣れてきたら徐々に回数を増やし、傾斜(前かがみ)も深くして行きましょう。
リハビリによる治療
肩の動きが悪くなる場合にはリハビリをして、硬くなった、もしくは硬くなりかけている肩をほぐし、動きをよくします。あまりに硬くなりすぎてしまうとリハビリは難渋します。
リハビリをつづけても改善が認められない場合には、手術が必要となることがあります。
手術が必要な場合は近隣の専門病院をご紹介します。
クリニックより
肩関節周囲炎は特別の治療をしなくても自然に治ることもありますが、動かさずに放置していると肩の関節が癒着(くっつくこと)して固まったり、無理に動かすと腱板(肩関節を安定させ動かすために重要な組織)などが損傷することがあります。そうなる前に整形外科を早く受診し、適切な治療をすることが大切です。お困りの方はお気軽にご相談ください。