急性腰痛症(ぎっくり腰)
急性腰痛症(ぎっくり腰)とは
突然の激しい腰の痛みに襲われるぎっくり腰は正式には「急性腰痛症」と呼ばれます。
症状
腰に強い痛みが生じ、腰を前後に曲げることが難しくなります。症状が重い場合は痛みで動けなくなることがあります。臀部や下肢に放散するような痛みやしびれを伴う場合もあります。
安静にしていると痛みは和らぎますが、長期の運動制限は筋力と柔軟性の低下を招き腰痛を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
症状は、重いものを持とうとしたときだけでなく、起き上がろうとしたときや咳・くしゃみをしたときなどに生じる可能性もあります。
病態・原因
急性腰痛症の痛みの原因はさまざまで、はっきりしない場合もあります。老化、姿勢の悪さ、無理な力がかかることなどによる腰の関節のずれ、椎間板という腰の軟骨の損傷、腰を支える筋肉や腱、靱帯の損傷などが原因として多いと考えられています。
発症してから4週間未満のものが急性腰痛と定義されています。多くの場合、1週間~10日程度で自然治癒します。しかし、症状を繰り返していると、慢性腰痛へ移行することもあります。
そのほか、特別な病気として椎間板ヘルニア、脊椎分離症、すべり症、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)などが原因となっていることもあります。また尿管結石や内科疾患の可能性もあるため、自己判断せず専門家の診断を受けることが重要です。
検査・診断
腰痛にはさまざまな原因があり、また原因によって治療法が異なるため、必要な検査を行い正確に診断することが重要です。
もっとも多く行われるのはレントゲン検査です。より詳しい情報を得るために、症状に応じてMRI検査なども検討します。
治療
急性腰痛症は安静にしていると数日から数週間で自然に治ることもあります。
薬物療法
腰の痛みや炎症に対しては通常、鎮痛剤を処方します。
トリガーポイント注射
腰痛を軽減させる注射療法の1つです。痛みや筋硬結(筋肉が硬くなっている)が強い“トリガーポイント”という部位に局所麻酔薬などを注射します。
装具療法
急性腰痛では、長期間の安静は推奨されていませんが、コルセットなどを用いて痛みの出ている部分を固定して安静に保つことで、痛みの軽減や早期の回復を目指す方法です。
このほか、牽引療法などの機械を使ったリハビリ(物理療法)や理学療法士と一緒にリハビリ(運動療法)を行うこともあります。
予防
急性腰痛症を予防するには、普段から腰に無理な負担がかからないよう姿勢に注意するとともに、腰回りの筋肉を鍛えることが大切です。また、日頃から腰の筋肉のバランスを整えることは腰痛の再発予防にもつながります。
痛みが和らいだら、普段通りの生活を送った方が経過はよいとされています。また、ぎっくり腰は繰り返しおこることも多くあります。
そのため、痛みがなくなってからも、普段からストレッチや軽い運動で予防していくことが大切です。
当クリニックでは患者様に合った治療法をご提案いたします。お困りの方はお気軽にご相談ください。