高尿酸血症・痛風
高尿酸血症・痛風とは
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が通常よりも高い状態のことです。「高尿酸血症」そのものでは症状は出なく、この状態が続いた影響で、関節内に尿酸の塊(結晶)ができ、痛みを伴うようになったものを「痛風」と呼びます。痛風は、文字通り「風があたっただけでも痛い」というほど激しい痛みの出る病気で、発作は数日続きます。
症状
痛風発作を起こした場合は、以下の症状がみられます。
- 関節の腫れや強い痛み
- 尿酸結晶は足の親指の付け根に形成されることが多く、激烈な痛みや発赤、腫れ
発作から1日後が、痛みのピークで1週間程度で症状は治まることが多いです。
症状が進行すると以下の症状が見られるようになります。
- 痛風結節(関節の周りがこぶのように腫れる)
- 尿路結石
- 腎臓の障害
原因・病態
尿酸というのはプリン体からできた老廃物です。最終的に尿から排泄されますが、尿酸が増えすぎると、尿酸が塊となって関節などに付着して溜まります。
尿酸の塊が剥がれ落ちると、免疫細胞がこれを異物とみなして攻撃するため、このときに痛風の激しい痛みや腫れが起こります。
アルコールや肉を多く摂取する、といった生活習慣と密接に関連していると考えられています。こうした生活スタイルは、高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満などとも関連しており、動脈硬化予備群であるメタボリックシンドロームと診断される人も少なくありません。したがって高尿酸血症の場合は、尿酸値だけでなく、肥満、血圧、脂質、血糖といった他の動脈硬化の危険因子にも目をむけ、適切な治療をすすめていく必要があります。
また遺伝の要因(尿酸を過剰に作りやすい、尿酸を排泄する機能が弱いなど)が原因の場合もあります。
検査・診断
高尿酸血症は、血液検査で尿酸値を測定します。血液中の尿酸が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。
同時に痛風は、症状や腫れの程度をみながら慎重に診断をすすめていきます。以前から高尿酸血症があったかどうかも痛風の診断のポイントですが、まれに尿酸値が正常上限くらいでも発作をおこすケースがあります。
痛風発作に似た他のまぎらわしい病気があります。その1つが偽痛風(ぎつうふう)です。おもに膝を中心とした大きな関節の痛みを特徴とします。尿酸の結晶ではなくピロリン酸カルシウムという物質が関節にたまって炎症を起こすのが原因です。そのほか、骨折や感染の可能性も考えられるため、レントゲン写真や関節内の液体の成分を調べることによって診断します。
予防・治療
生活習慣の改善
プリン体を多く含む食品や、アルコールの摂取を控えることが重要です。また、肥満を併発していることも多いため、減量を行うことも求められます。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化のリスク因子があれば、それらに対しては内科での治療も必要です。
薬物療法
尿酸が産生されにくくする薬や、体外への排泄を促す薬などの尿酸降下薬を使用することになります。尿酸降下薬の開始時には、痛風発作が生じることもあります。その場合においては、鎮痛剤が併用されます。
健康的な体重を維持するために、週に3回ほど運動習慣を取り入れるのも有効です。痛風だけでなくメタボリックシンドロームの予防のためにも、日頃から規則正しい生活を送ることが大切です。