肩腱板断裂
肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)とは
肩関節を支える「腱板(けんばん)」という筋肉と腱の集まりが傷がついたり、切れてしまう状態を「腱板断裂」といいます。中高年に多く見られる肩の障害で、腕が上がらない・夜間に痛むなどの症状が特徴です。

肩腱板断裂の原因・概要
腱板は「棘上筋(きょくじょうきん)」をはじめとした筋腱で構成されており、肩の安定やスムーズな動きを支えています。
- 加齢による変性(50代以降に多い)
- 転倒・外傷(スポーツや労働、転倒時の衝撃)
- 繰り返しの肩の使いすぎ(野球・テニス・建設作業など)
加齢性断裂は、知らないうちに進行していることもあり、「いつの間にか腕が上がらない」というケースもあります。
肩腱板断裂の症状
- 腕を上げるときの痛みや引っかかり感
- 夜間痛(寝返りや仰向けで痛む)
- 肩の動きに制限
- 断裂が大きい場合は自力で腕が上がらない(挙上障害)
初期には軽い痛みだけのこともあり、五十肩と間違えられることもあります。
肩腱板断裂の診断方法
1.問診・視診
痛みの部位や日常生活での支障の確認
2.徒手検査
腕を動かして腱板の機能をチェック
3.画像検査
- レントゲン(骨の変化確認)
- 超音波検査(断裂の有無や大きさをリアルタイムで確認)
- MRI(詳細な断裂の程度や炎症の広がりを把握)

肩腱板断裂の治療方法
1. 保存療法(軽度〜中等度の場合)
- 薬物療法(消炎鎮痛薬)
- 注射(肩峰下へのステロイド注射など)
- リハビリ(可動域改善・筋力回復・再発予防)
- 生活指導(負担のかからない動作指導)
2. 手術療法(断裂が大きい・改善がない場合)
- 関節鏡視下手術(体に負担の少ない内視鏡手術)
- 腱板の縫合や、場合により人工関節を用いることも
- ※高齢者の方でも痛みが強く、日常生活に支障がある場合には手術が検討されます。
肩腱板断裂の日常生活での予防とケア
項目 | 実践ポイント |
---|---|
肩の使い方 | 無理な腕の上げ下げを避け、繰り返し動作に注意 |
肩の筋力維持 | 軽い体操やストレッチでインナーマッスルを強化 |
冷えの予防 | 肩まわりを冷やさず温めることで血流改善 |
姿勢の改善 | 猫背やスマホ首の修正で肩への負担軽減 |
早めの受診 | 「腕が上がりにくい」「夜痛い」などがあれば早めに医師へ相談 |
当クリニックからのご案内
腱板断裂は、早期発見と適切な治療で日常生活への支障を軽減できます。当院では、超音波検査による即日診断や、理学療法士による個別リハビリ指導、必要に応じた専門病院との連携による手術相談も行っています。
肩の痛みでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
やまべ院長からの一言

断裂が小さい(部分断裂)の時でも、激烈な痛みが出ることがよくあります。また治療も安静から注射・リハビリ・手術まで幅広く、非常に専門性の高い対応が必要になる事が多いです。
なんだか肩が痛いけど、これは五十肩だろうという風に安易に自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
肩腱板断裂に関するよくある質問
肩の筋肉の腱が切れること。肩が痛くて腕が上げにくくなります。
40代以上、特に50〜70代に多い。スポーツや重い物を持つ人も注意が必要です。
- 肩の痛み(夜に痛みやすい)
- 腕が上がらない
- ゴリゴリ音
- 寝返りで痛い
自然には治りにくい。放置すると悪化することもあります。
肩を冷やさず、ストレッチと筋トレで筋力を維持。
痛みが続くなら早めに医療機関の受診を勧めます。